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白内障手術

1.手術の流れ

1.術前検査

眼内レンズの種類や度数を決定するのに必要な目の検査をします。
手術前に使用する抗菌点眼薬を処方します。

2.手術説明

手術における注意事項等をお話しします。

3.手術当日

手術は局所麻酔で行われます。
まず角膜を2mm-3mm程度切開し、その後濁った水晶体を超音波器機で削り取り、人工水晶体(眼内レンズ)を眼内に移植します。
手術中痛みはほとんどありませんが、眼を触られている・押されている感覚は残ります。
手術時間は片眼10分程度を予定しておりますが、眼の状態により手術時間は異なります。

4.手術後

手術終了後は、眼帯をします。眼帯は術翌日に取れます。眼帯が取れたら点眼薬をはじめます。点眼の回数は決められた通りに行ってください。

2. 眼内レンズについて

眼内レンズと一言でいっても、素材の違い、焦点の違い等で多くの種類に分けられます。

眼内レンズは、以下のような素材で構成されています。

  1. アクリル(疎水性、親水性)
  2. シリコン
  3. PMMA(ポリメチルメタクリレート)
  4. コラマーレンズ

現在は、眼内における安定性の観点から、多くの場合において、アクリルレンズが使用されています。

また、眼内レンズは、焦点の違いで、単焦点眼内レンズ多焦点眼内レンズに分かれます。

 

※多焦点眼内レンズは、光学部表面に回折格子(階段状の構造)が刻まれており、光の回折現象を利用して光を複数の焦点に振り分けることが可能です。

単焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方のどこか一つにピントを合わせた眼内レンズのことです。ピントを合わせた距離の範囲内でクリアな視野が得られます。遠くに焦点を合わせた場合は手元を見るのに老眼鏡が、近くに焦点を合わせた場合は遠方を見るのにメガネが必要になることもあります。

多焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方のうち複数のピントを合わせられる眼内レンズです。ピントを合わせた距離の範囲内で視野が得られます。見えにくい距離を補助するときにメガネが必要になることもありますが、単焦点眼内レンズと比較し、メガネの使用頻度が減るメリットがあります。しかし、コントラスト感度の低下(黒い文字が少し薄くみえる、あるいは膜がかかったように見える)やグレア・ハロー現象(夜間の運転で車のライトが反射したりにじんで見えたりする)などのデメリットもあります。

(参天製薬 白内障ミュージアム-白内障 より引用)

 

眼内レンズは水晶体のように、全てのものにピントを合わせられるわけではありません。適した眼内レンズを選ぶには、生活の中で一番見ている距離、見たい距離を考えることが重要です。なるべく裸眼でいられるよう、ご自身の生活スタイルに適したピントの距離を選んでいただきます。

(参天製薬 白内障ミュージアム-白内障 より引用)

 

眼内レンズの度数は、術前検査により算出し、ご希望の度数になるようにしてありますが、検査の精度により、計算どおりの屈折値(ピント)が得られない場合があります。軽度のずれの場合、メガネで補正していただくことが多いですが、ごく稀に予想外に大きくずれてしまった場合、眼内レンズの入れ替えをする場合があります。

3. 当院のこだわり

当院では、Alcon社のARGOS(アルゴス)、VERION(べリオン)を導入し、単焦点レンズ、多焦点レンズすべてのレンズにおいて、デジタルガイド下での手術を行っております。

デジタルガイド手術をする最大のメリットは、正確性になります。

手術の際、患者様に仰向けになっていただきますが、仰向けになると眼球というのは、立った姿勢の時と比べ回旋してしまいます。デジタルガイドを導入する前は、マニュアル操作で、切開位置や、トーリックレンズ(乱視矯正レンズ)の固定位置を決めていましたが、回旋している分、予定した位置よりもずれてしまうことがありました。切開位置のズレや、トーリックレンズの軸ズレが生じると乱視が想定以上に残ってしまうことに繋がります。

デジタルガイド下手術では、眼表面の血管の位置を認識しているため、眼球が回旋しても予定していた切開位置等を表示することができ、術前計画に沿った手術を行うことができます。

※この症例では、予定軸の164°よりレンズの軸がわずかにずれているため、正しい位置に修正する必要があることがわかります。

4. 術後メガネ

眼内レンズは単焦点眼内レンズであっても、多焦点眼内レンズであっても、ピント調節機能はありません。距離によっては眼鏡を使用しないと良好な視力は得られません。眼鏡は、術後約1ヶ月経過してから処方します。これは、術後早期に眼鏡を処方すると眼鏡の度数が合わなくなる可能性があるからです。

5. 診療スケジュール

術後の診察は、術後1日目、2~3日目、7日目、1か月目、2か月目、3か月目、6か月目、12か月目という流れになります。術後3か月目までは、点眼治療を行っていただきます。

6. 手術費用

1.単焦点眼内レンズ・レンティスコンフォート

健康保険適応により負担1割とした場合 片眼 15,000円前後

健康保険適応により負担3割とした場合 片眼 45,000円前後

2.選定療養多焦点眼内レンズ

※以下の眼内レンズ費用に加え、手術代に相当する費用が保険負担割合に応じて、片眼15,000円~45,000円前後発生します。

パンオプティクス、ジェメトリック、オデッセイ、ピュアシー、ビビティー

眼内レンズ費用片眼 310,000円(税込)
(乱視矯正を付加した場合 追加で40,000円(税込)が発生します。)

  1割負担 3割負担
健康保険 単焦点眼内レンズ(乱視矯正レンズ含) 約15,000円 約45,000円
多焦点眼内レンズ(乱視矯正レンズ含) 約15,000円 約45,000円
選定療養 多焦点レンズ 片眼310,000円(レンズ費用)+手術費用(単焦点レンズと同額)
多焦点レンズ(乱視矯正レンズ使用) 片眼350,000円(レンズ費用)+手術費用(単焦点レンズと同額)

7. Q&A

手術後はどれくらい視力が良くなりますか?

白内障以外の病気(緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、頭蓋内疾患など)がない場合、通常は遠見視力1.0以上見えると考えられます。(眼内レンズを近方焦点にした場合は、眼鏡矯正下での値になります。)

しかし、白内障以外の病気がある場合は、手術を行っても良好な視力が得られないこともあります。また、白内障で混濁が強い場合や、眼の中の異常でよく検査が行えないような場合には、手術後に予想外の病気や眼底変化が発見されることもあります。

手術後はすぐに見えるようになりますか?

とくに合併症なく手術が終われば、手術翌日から見えるようになりますが、炎症等により若干かすみ、ぼやけるといった症状が出る場合があります。その場合でも、通常2-3日で改善していきます。

また、手術前よりピントが変わっている場合は、見え方に慣れるのに少し時間がかかります。術後、まぶしく感じたり、飛蚊症を自覚されたりする方もいらっしゃいますが、その症状は徐々に慣れていきます。

手術中に痛みを感じますか?

手術を受けられる患者様が一番心配されるところだと思います。痛みの閾値、感じ方は個人差があり、一概に答えることは難しいですが、手術中痛みはほぼ感じないと思っていただいて構いません。一方。眼を触られている・押されている感覚は残ります。

白内障手術は、基本的には点眼麻酔のみで手術可能です。

また、希望により鎮静剤の点滴投与が可能で、全身麻酔のように眠ってしまうわけではありませんが、出来るだけ不安感を感じずに手術を受けていただくことができます。

手術はどうなったら受ければよいですか?

基本的には、日常生活で患者様ご自身が見えづらさを自覚するようになった時が、手術を受けていただく良いタイミングと考えます。水晶体の混濁は、年齢とともに必ず出てきますので、白内障があるからといって、すぐに治療が必要なものではありません。

手術にあたっては、医師の説明を受け、メリット、デメリットを十分にご理解頂き、ご納得されることが重要です。

手術後の入浴や運動など日常生活に制限はありますか?また、仕事、自動車運転はいつから可能ですか?

大前提として、術後の感染防止のため目を不潔にする行為は避けていただきたいということがあります。以下、手術当日からそれ以降の注意事項をお話しいたします。

まず、手術当日は、洗顔、洗髪をすることはできません。当日夜から首下のシャワーは可能ですが、手術直後は通常見えづらさが残っているため、転倒の危険性から翌日以降にされたほうが良いと思われます。

術後1週間までは、洗顔は控えていただき、顔はタオル等で拭いてください。

洗髪につきましては、ご家族様に洗っていただく場合や美容院でおこなう場合は、術翌日から許可しております。ご自身でされる場合は、術後1週間は控えていただきます。

手術翌日以降、買い物、散歩等普通の生活は可能ですが、重いものを持ち上げたり、跳びはねたり、激しい運動はしないでください。また土仕事は避けて下さい。

お仕事につきましては、職種によって可能な時期が異なりますので、詳しくは医師までご相談ください。

車の運転につきましては、術当日、術翌日はすることができません。

通常の術後経過の場合、術後3-4日もすると運転可能なくらい視力は回復していると考えられます。運転前に、一度医師にご相談ください。

白内障の手術をするのは1回だけですか?

手術は原則1度だけです。

ごく稀に、再手術をする場合がありますが、それは以下のようなケースになります。

  • 術後感染症になってしまった場合。
  • 予定した眼内レンズ度数とずれてしまった場合。
  • 眼内レンズの位置が目の中でずれてしまった場合。

 

また、再手術をするということではありませんが、術後の経過として、見え方に再度かすみ、ぼやけが出てくることがあります。眼内レンズを入れる水晶体の袋(水晶体嚢)はもともと透明ですが、水晶体嚢の後ろの部分(後嚢)が術後経過とともに、どんどん濁ってきて、すりガラスのような見え方になり、視力が低下することがあります。

これは、水晶体上皮細胞という、水晶体嚢にある細胞が増殖して起きる生理現象の一つで、後発白内障という名前がついています。

外来で濁った部分にレーザーを当てて治療することができるため、ご安心ください。

すべての患者さまに発症するわけではありませんが、術後数か月から数年で出現してくるケースが多いです。

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