涙道内視鏡チューブ挿入術
1.涙道とは
涙が流れる通り道を「涙道」と呼びます。
涙は、目頭側の瞼の内側にある小さな穴、涙点から涙小管に入り、鼻の両側の涙嚢を通って、鼻涙管を通じて鼻腔に流れていきます。
涙道が、加齢などの原因で狭くなる、詰まってしまうことを涙道閉塞症と呼びます。
2.涙道閉塞症による症状
涙道閉塞症になると、涙がにじむ、涙があふれるといった症状(流涙)や、鼻涙管、涙嚢の感染による眼脂や疼痛が起きます。
流涙は単にその不快感だけでなく、視機能に影響を与え、QOV(Quality Of Vision)を低下させるため、治療の重要性が増しています。
3.涙管チューブ挿入の手術について
手術は、日帰り局所麻酔下で行います。
痛みに弱い方や不安、緊張が強い方は、それらを和らげる点滴の使用も可能です。
涙道内視鏡は直径0.9mmと非常に細く、涙点から挿入し、涙道の中を確認しながら閉塞部を解除します。その後、涙管チューブを上下の涙点から挿入し、涙道内に留置します。治療に要する時間は、片眼で約10-20分ですが、閉塞の程度によって時間は異なります。
涙道内視鏡
4.診療スケジュール
術後は、2週間に1回定期的に受診していただき、通水(洗浄)を行っております。
涙管チューブは2ヶ月~3ヶ月後に抜去します。
5.手術費用
2018年に健康保険適応となり、患者さんの費用負担が少なくなりました。
6.Q&A
手術後の生活制限はありますか?
手術当日より洗顔、洗髪、シャワーは可能です。
お風呂は翌日以降からお願いいたします。
食事制限はありませんが、お酒は翌日以降で適量の方が望ましいです。
手術当日は激しい運動は控えていただきます。
手術後に運転や仕事は可能でしょうか?
手術当日は、麻酔薬の影響で物がダブって見えたり、ふらついたりすることがあるため、運転は控えていただきます。また、デスクワークであれば、当日から可能ですが、前述のとおり、見えづらさを感じることがあるため、当日は安静にされたほうが望ましいと考えます。
手術中に痛みを感じますか?
詰まった部位を内視鏡で開通する際に、若干の痛みを感じることがあります。
手術前に、痛みを感じないようにしっかり麻酔をしますのでご安心ください。
また、希望により鎮静剤の点滴投与が可能で、全身麻酔のように眠ってしまうわけではありませんが、出来るだけ不安感を感じずに手術を受けていただくことができます。
手術はどうなったら受ければよいですか?
基本的には、日常生活で患者様ご自身が不自由、煩わしさを自覚するようになった時が、手術を受けていただく良いタイミングと考えます。
眼脂が大量に出ている場合や涙小管炎になっている場合などは積極的に治療を勧めております。手術にあたっては、医師の説明を受け、メリット、デメリットを十分にご理解頂き、ご納得されることが重要です。
再発することはありますか?
術後数か月~数年してから再発することがあります。
詰まっている部位によって再発率が異なり、特に鼻涙管が詰まっている場合は再発する可能性が高まります。術後の定期的な通水が大切になりますので、通院を継続していただくことになります。