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加齢黄斑変性症

加齢黄斑変性症の症状

加齢黄斑変性症の症状は、初期の段階では自覚しにくいことがありますが、進行するにつれて日常生活に大きな支障をきたすようになります。この病気は視野の中心部分に影響を与えるため、周辺の景色は見えていても、肝心な「見たいもの」が見えにくくなるのが特徴です。

物がゆがんで見える(変視症)

最も代表的な初期症状の一つが、直線や格子状のものが波打って見えたり、曲がって見えたりする症状です。これを変視症と呼びます。例えば、窓のサッシやタイル、ノートの線などが歪んで感じられる場合は注意が必要です。

中心が暗く見える・欠ける

視界の中央部分が黒ずんで見えたり、ぼやけて欠けて見えたりすることがあります。これを中心暗点といいます。人の顔を見ようとしたときに顔の部分だけが暗く見え、周囲の景色だけが見えるような状態になります。日常生活では、文字を読む、テレビを見るといった動作が困難になります。

視力の低下と色の認識の変化

徐々に視力が低下し、眼鏡を作り直しても改善しない場合は、黄斑部の障害が進んでいる可能性があります。また、色が薄く見えたり、色の区別がつきにくくなったりすることもあります。加齢黄斑変性症は片目から始まることも多く、もう片方の目が補ってしまうために発見が遅れることがあるため、片目ずつチェックすることが大切です。

加齢黄斑変性症の原因

加齢黄斑変性症が発生する主な原因は、加齢に伴う組織の変化ですが、それ以外にも複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。ここでは、発症や進行に関わる主な要因を整理して解説します。

老化と老廃物の蓄積

年齢を重ねることで網膜の細胞が働きを弱め、排泄されるべき老廃物を処理できなくなります。この老廃物が「ドルーゼン」と呼ばれる沈着物として黄斑部に溜まると、周囲の細胞にダメージを与えたり、炎症を引き起こしたりします。これが原因で組織が薄くなったり、異常な血管が発生したりするようになります。

喫煙と生活習慣

喫煙は、加齢黄斑変性症の最大のリスクを高める要因であることが科学的に証明されています。タバコを吸う人は吸わない人に比べて、発症率が数倍高まるといわれています。また、偏った食生活(脂肪分の摂りすぎ)、肥満、高血圧、日光(紫外線)への過剰な露出なども、酸化ストレスを増大させ、網膜に悪影響を及ぼすことが分かっています。

遺伝的要因と全身疾患

ご家族に加齢黄斑変性症の方がいる場合、体質的に発症しやすい傾向があるといわれています。また、心血管疾患や高コレステロール血症などの全身的な健康状態も、目の中の微細な血管の状態に影響を与えます。白人の方に多い病気とされてきましたが、日本でも近年の生活習慣の欧米化により患者さんが増加しています。

加齢黄斑変性症の病気の種類

加齢黄斑変性症は、大きく分けて「萎縮型」と「滲出型」の2つのタイプに分類されます。それぞれ進行のスピードや治療への反応が異なります。

1. 萎縮型(ドライ型)

網膜の組織が加齢とともに少しずつ薄くなり、細胞が壊れていくタイプです。進行は非常にゆっくりで、数年かけて徐々に視力が低下していきます。加齢黄斑変性症の約80%はこのタイプですが、現在のところドルーゼンそのものを劇的に取り除く治療法はありません。ただし、一部の萎縮型は、次に説明する滲出型へ移行することがあるため、継続的な観察が必要です。

2. 滲出型(ウェット型)

網膜の下に「脈絡膜新生血管」というもろくて異常な血管が伸びてくるタイプです。この新しい血管からは血液や水分が漏れ出しやすく、黄斑部がむくんだり(浮腫)、出血したりします。これにより急激な視力低下や歪みを引き起こすのが特徴です。放置すると大きな瘢痕(きずあと)が残り、回復が難しくなるため、早急な治療が求められます。

加齢黄斑変性症の治療法

当院では、加齢黄斑変性症のタイプや進行度に応じて、視力の維持・改善を目指した治療を行っています。特に滲出型に対する薬物療法は近年飛躍的に進化しています。

抗VEGF療法(硝子体内注射)

滲出型の原因である異常な血管(新生血管)の増殖を抑える薬剤を、白目の部分から直接眼の中に注射する治療法です。VEGF(血管内皮増殖因子)という物質の働きをブロックすることで、血管からの漏れを止め、浮腫を解消させます。継続的な投与が必要になる場合が多いですが、視力を維持するために非常に重要な治療です。詳細は「抗VEGF硝子体内注射」のページを参照してください。

サプリメントによる栄養補給

萎縮型や、早期の加齢黄斑変性症に対しては、進行を遅らせるために特定の成分を含んだサプリメントの摂取が推奨されます。AREDS2と呼ばれる大規模研究に基づいた以下の成分が有効とされています。

  • ビタミンC および ビタミンE
  • ルテイン および ゼアキサンチン
  • 亜鉛 および 銅

これらの成分を適切に摂取することで、網膜の酸化ダメージを軽減し、病気の悪化を防ぐことが期待されます。当院では食事指導を含めた生活アドバイスも行っています。

レーザー光凝固術

新生血管が黄斑の中心から離れた場所にある場合、レーザーで血管を焼き固めて進行を防ぐ方法があります。ただし、レーザーを当てた部分は組織が破壊されるため、適用できるケースは限られています。現在は注射による治療が主流となっていますが、状況に応じて適切な手法を検討します。

加齢黄斑変性症の検査

早期発見と治療効果の判定のために、当院では高度な画像診断機器を駆使して精密な検査を行っています。

光干渉断層計(OCT)およびOCTA

網膜の断面を立体的に撮影し、むくみの程度や組織の厚みをミリ単位で測定します。当院では、造影剤を使わずに血管の状態を確認できるOCTアンギオグラフィー(OCTA)を導入しています。身体への負担を抑えながら、新生血管の広がりを詳細に把握することが可能です。

アムスラーチャート(自己チェック)

格子状の図を見て、歪みや欠けがないかを確認する検査です。診察室で行うだけでなく、患者さんがご自宅で毎日セルフチェックするためのシートも配布しています。片目ずつ確認し、少しでも異常を感じたらすぐにご来院いただくための指標となります。

費用

加齢黄斑変性症の治療、特に硝子体内注射は公的医療保険の対象となります。自己負担割合に応じて費用が異なりますので、以下の表を参考にしてください。

項目 1割負担 3割負担
硝子体内注射(薬剤費含む) 約10,000円から 約25,000円から
OCT検査・診察費 約1,000円から 約3,000円から

※使用する薬剤の種類や、高額療養費制度の適用によって実際の負担額は変動します。詳細な費用については「治療費一覧」のページをご確認いただくか、窓口までお気軽にお尋ねください。

加齢黄斑変性症についてのよくある質問

Q1. 治療を受ければ視力は元通りになりますか?

A1. 滲出型の場合、注射治療によって浮腫が引くと視力が改善することがありますが、すでに組織が傷んでしまっている場合は、視力を維持すること(これ以上悪くしないこと)が目標となります。早期に治療を開始するほど、良好な視力を保てる可能性が高まります。

Q2. 注射は痛くないですか?

A2. 処置の前に点眼麻酔や局所麻酔をしっかりと行います。非常に細い針を使用するため、実際の痛みはチクッとする程度で、短時間で終了します。処置後は感染予防のための点眼を行っていただきます。

Q3. 両目同時に発症することはありますか?

A3. 片目に発症すると、数年以内にもう片方の目にも症状が現れるケースが珍しくありません。そのため、症状がない方の目も定期的に検査を受けることが、将来の視界を守るために不可欠です。

Q4. 生活の中で気をつけることはありますか?

A4. 禁煙は最も重要です。また、外出時はサングラスや帽子で紫外線をカットすること、緑黄色野菜(ケール、ほうれん草など)を積極的に摂取することをお勧めします。

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