ドライアイ
ドライアイの症状
ドライアイの症状は多岐にわたり、患者さんによって感じ方が異なるのが特徴です。代表的な症状としては、目の乾き以外にも「疲れ目」や「異物感」として自覚されることが多くあります。
代表的な自覚症状
- 目が乾いていると感じる
- 砂が入ったような、ざらざら・ゴロゴロした感覚がある
- 目が重たい、あるいは眼精疲労が抜けない
- 光をまぶしく感じやすい
- 視界がかすんだり、見え方が不安定になったりする
- 起床時に目やにが固まっていたり、まぶたが開けにくかったりする
「涙が出る」のもドライアイの症状です
「目が乾いているのに涙が出るのはおかしい」と思われるかもしれませんが、これもドライアイの重要なサインです。涙の質が悪く、目の表面が露出して刺激を受けると、脳が「目を守らなければならない」と判断し、反射的に大量の涙を分泌させてしまうのです。しかし、この涙は本来の潤いを保つ涙とは性質が異なるため、すぐに流れ落ちてしまい、乾燥の根本的な解決にはなりません。
ドライアイの原因
ドライアイの原因は一つではなく、複数の要因が重なり合って発症することがほとんどです。私たちの生活環境の変化も、発症に大きく関与しています。
生活環境と習慣による影響
スマートフォンやパソコンを長時間見つめる作業(VDT作業)は、まばたきの回数を極端に減らしてしまいます。通常、人間は1分間に約20回のまばたきをしますが、画面を注視している間はその回数が4分の1程度まで減少すると言われています。また、エアコンによる室内の乾燥やコンタクトレンズの長時間装用も、涙の蒸発を加速させる大きな要因です。
加齢と身体の変化
涙の分泌量は、年齢とともに徐々に減少していく傾向があります。特に女性の場合は、閉経後のホルモンバランスの変化に伴い、ドライアイを発症しやすくなることが知られています。そのほか、血圧を下げる薬や抗ヒスタミン薬などの内服薬の副作用として、涙の量が減ってしまうケースも珍しくありません。
全身疾患との関連
自己免疫疾患の一つであるシェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺が攻撃されることで、重度のドライアイや口の渇きを引き起こします。また、関節リウマチや糖尿病などの持病がある方も、涙の分泌や質に影響が出やすい傾向があります。当院では、眼表面の観察だけでなく、全身の状態も考慮した丁寧なカウンセリングを行っています。
ドライアイの病気の種類
ドライアイは、涙が足りなくなる「量」の問題と、涙がすぐに乾いてしまう「質」の問題に大きく分けられます。
涙液減少型(涙の量が足りないタイプ)
涙を作る工場である「涙腺」の機能が低下し、供給される涙の量そのものが不足する状態です。高齢の方やシェーグレン症候群の患者さんに多く見られます。このタイプでは、目の表面が常に露出した状態になりやすく、強い痛みや角膜の傷を伴うことがあります。
蒸発亢進型(涙が乾きやすいタイプ)
涙の量は十分であっても、涙の表面を覆う「油の膜」が不足しているために、涙がすぐ乾いてしまう状態です。現代のドライアイの多くがこのタイプに該当すると言われています。涙の油分を分泌するマイボーム腺が詰まることで起こる「マイボーム腺機能不全(MGD)」が主な原因です。
涙液膜不安定化(バランスが崩れるタイプ)
涙の量や油分には大きな異常がなくても、まばたきをした直後に涙の膜がすぐに壊れてしまうタイプです。涙の中に含まれる「ムチン」という成分の不足などが関係しており、パソコン作業を頻繁に行う方に多く見られます。当院では、先進的な機器を用いて涙液破壊時間(BUT)を計測し、このバランスの崩れを詳細にチェックしています。
ドライアイの治療法
ドライアイの治療は、まず正確な診断から始まります。横浜青葉いのうえ眼科では、患者さんの状態に合わせた段階的な治療をご提案しています。
点眼薬による加療
最も一般的な治療法であり、症状の程度に応じて複数の目薬を使い分けます。
- ヒアルロン酸点眼液・・不足した水分を補い、目の表面の潤いを保ちます。
- ムチン・水分分泌促進点眼薬・・涙の成分であるムチンや水分の分泌を促し、涙の質を改善します。
- 抗炎症点眼薬・・目の表面の炎症が強い場合に、炎症を抑えるために使用します。
涙点プラグ(涙の出口を塞ぐ治療)
涙の排出口である「涙点」に、シリコンやコラーゲン製の小さなプラグを挿入する処置です。これによって、自分自身の涙や目薬を長時間目の表面に留めることができます。点眼薬だけでは症状が十分に改善しない中等度以上の患者さんに、高い効果が期待できる治療法です。
マイボーム腺のケア(リッドハイジーン)
涙の油分を出す出口が詰まっている場合、まぶたを温める「温罨法(おんあんぽう)」や、専用のシャンプーでまつ毛の根元を洗浄するケアを推奨しています。これにより、古い脂の排出を促し、涙の蒸発を防ぐ良質な油が出やすくなります。
IPL(Intense Pulsed Light)療法
マイボーム腺にIPLと呼ばれる特殊な光を下眼瞼(下まぶた)に照射することで、上・下のマイボーム腺の詰まりを除去し、炎症を抑え、ドライアイ症状の改善をする新しい治療法です。当院では導入しておりませんので、ご希望の方は他施設にご紹介となります。
ドライアイについてのよくある質問
Q1. 市販の目薬を使い続けても大丈夫ですか?
A1. 市販薬の中には防腐剤が含まれているものがあり、頻繁に点眼するとかえって目の表面を傷つけてしまうことがあります。また、充血を取る成分が入った目薬は、使い続けると逆に症状を悪化させることもあるため、眼科で処方された目薬を使用することをお勧めします。
Q2. ドライアイは放っておくと視力が下がりますか?
A2. 涙の膜は「レンズ」の役割も果たしているため、膜が不安定になると光が乱反射し、視力が低下したように感じることがあります。また、重度の乾燥で角膜に大きな傷がつくと、不可逆的な視力低下につながる恐れもあるため、早期の加療が大切です。
Q3. コンタクトレンズをやめなければなりませんか?
A3. 必ずしもやめる必要はありませんが、レンズの種類を変更したり、装用時間を短縮したりする工夫が必要です。当院ではドライアイの方に適したシリコーンハイドロゲル素材のレンズ処方なども行っています。
